2024年1月30日火曜日

カリフォルニア|地震への備え(Earthquake Preparedness)②

カリフォルニア|地震の備え②

第二回 サンアンドレアス断層(San Andreas Fault)

カリフォルニアの住人(The Californians)であれば誰でも知っているサンアンドレアス断層(San Andreas Fault)は、第一回で取り上げたカスカディア沈み込み帯の南端あたりから、カリフォルニア州を南北に貫き、メキシコのカリフォルニア半島の付け根の辺りまでの約800マイル延びる断層である。

サンアンドレアス断層
By Kate Barton, David Howell, and Joe Vigil - Archived source link, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1347277

一方のプレートがもう一方のプレートに潜り込む、「沈み込み帯」とは異なり、太平洋プレートと北米プレートが横方向にずれる「横ずれ断層」(strike slip fault)で、かつてサンフランシスコ周辺に被害をもたらした2つの大地震がこの断層上で発生している:

  • サンフランシスコ大地震(1906年|M7.9|震源はサンフランシスコの西岸沖)
  • ロマプリエタ地震(1989年|M6.9|震源はサンタクルーズ近辺の山中

地震発生の歴史については、次回以降にするつもりである。

プレートレクトニクスplate tectonics)によると断層の東側は南へ、西側は北へと常に移動しているとされている。最大規模マグニチュード(M)8クラスの地震が断層付近でいつ発生してもおかしくないと言われている。


地震研究の中心、アメリカ地質調査所(USGS)

アメリカで、地震をはじめ火山や地質について研究・調査を行っている政府機関がUSGS(United States Geological Survey)で、1879年に設立されている。

世界中で発生した地震についての詳細な情報を、ほぼリアルタイムで出している。

最新地震情報リンク:Latest Earthquakes (usgs.gov)
(関心のある人は、ぜひ一度訪れてみてください。)

断層の通り道

それでは、具体的に断層がどこを通っているかを、一度は確認しておくのがいいと思う。マップで見るなら、道路地図ではなくて、地形図か衛星写真で確認するのがおすすめである。

現地在住の人なら、これからでてくる地名はすぐに分かるだろうが、北から、

  1. メンドシーノ岬Cape Mendocino
  2. ボデガベイBodega Bay](ソノマ郡)
  3. ポイントレイズPoint Reyes](マリン郡)
  4. サンフランシスコの西岸沖(サンフランシスコ大地震の震源
  5. サンアンドレアス湖San Andreas lake](サンマテオ郡)
  6. シリコンバレーの西方
  7. サンタクルーズ山地Santa Cruz Mountains](ロマプリエタ地震の震源
  8. ホリスター[Hollister, CA](サンベニート郡)
  9. ピナクル国立公園Pinnacle National Park
  10. パークフィールド[Park Field, CA](地震研究の基地がある)
  11. カリゾ平原Carrizo Plane
  12. テホン峠Tejon pass](ロサンゼルス郡/カーン郡)
  13. パームデール[Palmdale, CA](ロサンゼルス郡)
  14. サンバーナディーノ[San Bernardino, CA](サンバーナディーノ郡)
  15. ソルトン湖Salton Sea](インペリアル・バレー)
  16. カリフォルニア湾Gulf of California](メキシコ)

サンフランシスコ半島から上陸して各地を縦断するかたちであるが、これらの場所の多くは景勝地であることが多い。地震と断層がカリフォルニアの観光資源をつくったといっても過言ではないだろう。

この断層の真上には、いわゆる大都市はない。逆に言えば、断層の上には大都市をつくらなかったと言える。地震の影響を受けやすいとされる場所は、国立公園や公有地が多くなっている。ただし、サンフランシスコ・ベイエリア、ロサンゼルスは、この断層のわりと近くにあるため、安心はできないことは言うまでもない。

また、断層が地表で確認できる場所には、目印となるマーカーや標識が設置されていたりもする。地形図をある程度拡大してみると、陸地がずれたと思われる線が確認できたり、断層にそって川が流れていたり、細長い湖があったりもする。

フィールド・トリップの実施(今年の抱負)

フィールド・トリップ(Field Trip)といえば、教育目的である場所を訪れることをいって、学童時代の遠足や社会科見学がこれにあたる。私は写真撮影が趣味で、折にふれては、自然や歴史の写真を撮り歩いている。今後は各地に出かける時に、地震や断層に関連した場所も訪れて、その都度、このページで報告したいと考えている。

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2024年1月26日金曜日

カリフォルニア|地震への備え(Earthquake Preparedness)①

カリフォルニア|地震の備え①

第一回 カスカディア沈み込み帯(Cascadian Subduction Zone)

2024年に入るとすぐに北陸・能登からの地震の一報。それ以来、地震のことが頭から離れず、いろいろな情報収集をはじめた。

米国西海岸・カリフォルニアの住人としては、「対岸の火事」ではなく、どこで地震が発生しても警鐘としてとらえるべきだと思う。「明日はわが身」なのである。

カリフォルニアに住んでいれば、記憶に新しい過去に何度も大地震は発生していて、州を南北に貫いて「サンアンドレアス断層」(San Andreas Fault)が走っていることは、誰でも知っている。

実際に、サンフランシスコ大地震(1906年|M7.9)とロマ・プリエタ地震(1989年|M6.9)は、どちらも、サンフランシスコとその周辺に大きな被害をもたらしたが、それらの震源は、サンアンドレアス断層上にあった。その痕跡は各地に残されている。

これらの地震については、後の回で取り上げることにして、まずは、(たぶん、カリフォルニアでは)あまり意識の中にない、「カスカディア沈み込み帯」(Cascadian Subduction Zone)での地震活動について取り上げることにする。

By The original uploader was Curps at English Wikipedia.Later versions were uploaded by Remember the dot at en.wikipedia. - https://earthquake.usgs.gov/eqinthenews/2004/usslav/rupture_area-nw.html, specifically https://earthquake.usgs.gov/eqinthenews/2004/usslav/rupture_area-nw.gif, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2801526

カスカディア(Casdadia)

米国の西海岸は、北からワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州の三つの州で構成されている。カリフォルニア州の背骨にあたるのがシエラネバダ山脈Sierra Nevada)なら、ワシントン州、オレゴン州と、カリフォルニア州の北部には、カスケード山脈Cascade Range)が連なっている。その最南端が、霊峰としておなじみのシャスタ山Mount Shasta)である。

このあたりの地域のことは、太平洋岸北西部Pacific Northwest)と呼ばれる。またの名を「カスカディア」(Cascadia)という。そして、このカスカディアの沖合には、北米プレートと太平洋プレートに囲まれるように「ファンデフカプレート」(Juan de Fuca Plate)という小さな海洋プレートがあって、これが、北米プレートの下に沈み込んでいる。この一帯のことを「カスカディア沈み込み帯」(Cascadian Subduction Zone)という。

日本語訳としては、「カスケード沈み込み帯が当てられていますが、なんとなくしっくりこないので、このページでは、「カスカディア」で通すことにします。

この名前を初めて意識したのは、2年前にカリフォルニア北部沿岸の町々、ファーンデール、ユリーカ、クレセントシティ、などを訪れた時である。特に、ファーンデール(Ferndale, CA)沖は、小規模ながら群発地震の発生域であり、クレセントシティ(Crescent City, CA)は、アラスカ地震(1964年|M9.2)で発生した津波で、大被害を受けた町として有名である。

カスカディア地震(Cascadia earthquake)

最近は、北西部沿岸は実のところ、地震の空白域になっていて、記録にある最後の大地震は、1700年1月26日に発生したとされる。

アメリカやイギリスが領土として認識・意識しはじめたのは、1800年代に入ってからのことで、まだ先住民たちだけが暮らしていた時代に発生した時代で、何の記録も残っていない。

この日付が特定されたのには、多少の経緯がある。まずは先住民の伝承から、この地域に定期的に大地震が発生していることがわかる。後に海岸の地形や地質などの研究から、1700年前後に大地震があったことが判明する。

その後、ゴーストコースト(Ghost Coast)と呼ばれる、過去の地震の痕跡地にある樹木の年輪から、その年は1700年であったことが特定された(これをつきとめたのは日系人の年輪年代学者(dendrochronologist)ヤマグチさんという人らしい)

それから、日本の地震学者(Seismologist)によって、そのころ日本の太平洋岸に到達した津波の記録から、日付や発生時刻までも特定されたという。

今後のこと

過去の記録から、この地域では、数百年に一回の大地震(M9クラス)が発生していることが分かっていて、日本の南海トラフと同様、いつ来てもおかしくないといわれている。

アラスカや南米のチリではM9以上の地震はあったが、西海岸・カスカディアでのM9クラスの大地震はまだ、米国史には刻まれていない(サンアンドレアス断層での地震はせいぜいM8クラスだそうだ)。研究によれば、ここで地震が発生すると、オレゴン州、ワシントン州の大都市である、シアトルやポートランドを含めて、大きな被害が発生するといわれている。

津波の発生まで考えると、だいたい州間道路5号線より西の区域は、かなりの被害を覚悟しないといけないらしい。かなり広く、内陸まで入った地域である。

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年始早々、地震の話をして、物騒だと言われるかもしれませんが、「備えあれば憂いなし」というし、私は、自分でできる範囲で「備えて」、あとは心配しない「憂えず」の日常を送りたいと考えています。

ある火山・地震系のユーチューバーをフォローし始めました。その学者さんは、「水一本からでもいいから、準備をはじめたらいい」と備えを進めています。

今日とり急いで、このシリーズをはじめようと決めたのは、奇遇にも、今日がその「カスカディア地震」の記念日1月26日だったからです。

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