サンノゼの南、モントレー郡のサリナスという町にある「スタインベック博物館」を訪れる予定にしていたので、予習のつもりで少し作品・映画に触れてみることにした。
ジョン・スタインベックの作品
ジョン・スタインベック(John Ernst Steinbeck|1902年~1968年)は、1930年代~60年代に活躍したカリフォルニア州サリナス出身の小説家で、いわゆるノーベル賞(1962年)作家で、次のような作品で有名である。
- トルティーヤフラット|Tortilla Flat(1935)
- キャナリーロウ|Cannery Row(1945)
- エデンの東|East of Eden(1952)
- 赤い小馬|The Red Pony(1933)
- 二十日鼠と人間|Of Mice and Men(1937)
- 怒りの葡萄|The Grapes of Wrath(1939)
ダストボール
今回、スタインベックの作品を読む・観るに至ったのは、1930年代にオクラホマ州を中心に発生した「ダストボール」(砂嵐)が原因である。時は、世界大恐慌の真っ最中であった。
オクラホマ州は、ミシシッピ川とロッキー山脈の間を南北にのびるグレート・プレーンズの州で、もともとは大草原の広がる場所であった。それが開拓農民の移住によって、農地となり、その後、大資本と大型機械化による農業経営も入ってきた。
そこに訪れたのが旱魃。もはや草原ではなく、耕された表土は風と共に舞い上がり、ひどい時には東海岸や大西洋まで達したそうである。
アジア・日本でいえば、黄砂現象のひどいのと言えるかもしれない。
作物が実らなくなった大地は、差し押さえられて、小規模経営の農民たちは、他へ移住せざるを得なくなる。向かう先は、カリフォルニアである。
映画『怒りの葡萄』のなかでは、一家が夢に見つつめざすカリフォルニアが「約束の地」(Promised Land)として描かれている。また、スタインベックは、その道のりをモーセの「出エジプト」(Exodus|大移動)にもみたてている。
ちなみに、タイトルの「The Grapes of Wrath」は、国民的愛唱歌『リパブリック賛歌』の一節からのもので、さらには聖書の「黙示録14:19」からの引用であるらしい。
ルート66
映画のなかには、一家が「ルート66」を通って、オクラホマ州—ニューメキシコ州—アリゾナ州ーカリフォルニア州へと移動する様子も描かれている。いまではすっかり観光地化してしまったこのルート66には、こうした悲しみの面もあったことに気づかされた。
カリフォルニアに着いて一家が目にしたものは、季節労働の農民たちの劣悪な労働事情だった。
セサール・チャベス
ちょうど、時をおなじくして、セサール・チャベス(Cesar Chavez|1927年~1993年)についても調べていた。
この人は、1960年代に活躍した労働運動家で、発端は、農業労働者の労働組合を組織したことで有名である。非暴力によるストライキやハンガー・ストライキを実践してある程度の成果を勝ち取った人である。
時代には30年の開きがあるが、このスタインベックの描いた世界とチャベスの生きた世界がどうしても重なって映る。そして、今もまだ問題は残っているようである。
いまでも、野菜や果物の収穫のために、移動しながら生活している人たちも大勢いるとのことである。この人たちがあってこそ、スーパーや市場に農産物が並ぶことを考えると、この人たちの存在を意識せざるをえなくなった。
◉ 今回観たスタインベック原作の映画
❏ 疑わしき戦い|In Dubious Battle(2016)
❏ エデンの東|East of Eden(1952)
❏ 二十日鼠と人間|Of Mice and Men(1937)
❏ 怒りの葡萄|The Grapes of Wrath(1939)
❏ 赤い小馬|The Red Pony(1933)―観る予定
◉ 参考に観た/観る映画
❏ Cesar Chavez(2014)
❏ Dolores(ドキュメンタリー 2017)
❏ Food Chaines(ドキュメンタリー 2014)
◉ 読んでみたいスタインベック作品
❏『チャーリーとの旅: アメリカを求めて』
❏『アメリカとアメリカ人: 文明論的エッセイ』—読書中
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